2010/02/23
用語の定義とその中身は万人がイコールではない
少し前に、DTP Transitさんのほうでエントリされていたものをみてちょっと気になった点が。
エントリ当初と現在とは一部内容が異なっていたりするんですが(確かウラケイの数値とか)、ちょっと気になる点があったりします。
ある意味どうでもいいことや、役立つかどうかもわからないような中身を、日々脳内から適当に垂れ流しまくりつつ、今日をなんとか生き存えることを思案してます。
2010/02/23
エントリ当初と現在とは一部内容が異なっていたりするんですが(確かウラケイの数値とか)、ちょっと気になる点があったりします。
DTP Transitさんのところで提示しているものを例にして述べますと「オモテケイ」。
0.1mmの罫線のこと。ヘアラインとも呼ばれる。基本的にこれ以下の細い罫を使うと、かすれてしまうことがあるので注意したい。なお、イロケイ(カラー設定が行われている罫)の場合には、ウラケイ(0.4-0.5mm)程度にしないとやはりかすれてしまうことがある。印刷では、スミ版(黒)以外の版の網点は角度がついているため。
実はこれ、厄介な事に用語と数値は必ずしも一致しない可能性があったりします。
いくつかの用語集や写植関係の文献を紐解いてみたところ、オモテケイ・ウラケイ・中細(太)罫の定義はそれぞれ以下になってます。
○写真植字機のテキスト(H7.5:第18版 モリサワ):0.1mm・0.5mm・0.2mm
○改訂版DTP最新用語辞典2000-2001(2000.4.30 IDG):0.1~0.13mm程度・約0.4mm・0.2mm程度
○タショニム・フォント見本帳No.5(2001.2.1:第7版 写研):0.12mm・0.4mm・0.25mm
こんな感じで結構バラバラです。ついでにモリサワのほうは「参考までに大体の基準」と記載されてたり、DTP最新用語辞典にも「厳密な定義はないが」みたいなことが描かれてます。
ただ、JIS X 4051:2004「日本語文書の組版方法」では写研と同一数値が参考として記されていたりします(「3.定義 44)けい(罫)線」より)。これは写研が元になっている、ように思います。裏は取ってないですが。
これらを見比べると、基準となる数値はあってないようなもの、ということが判ってしまう。敢えて考えてみるならば、写研と、それを元にしたと思われるJIS定義が多数である=デファクトスタンダードになりうる、という可能性が高いかもしれません。
個人的には写研で習い、そして育ったので、オモテケイ=0.12mm、ウラケイ=0.4mmが基準になってます。ただし現在必ずしもその数値が絶対とは思ってませんし、事実厳密に守ってはいない。しかし、今もそれを頑なに守っている人もいるはず、というか組織的に守っているところがあるのを知っている。何故といえば「そういうルールにしてしまったから」。いわばローカルルールに近いものです。または「JISが決めてるのでそれに従おう」ルール。特にJIS規格は元規格を後追いながらも、それが定義された時点で絶対的な指標として扱われてしまうことが往々にしてあるため、そこで決まったものは盲目的に利用され、使い続けられる怖さ。
ただ、ルールはあったほうがいいはずです。厳密な数値を用意してしまったほうが、デジタルデータの処理としては「バラバラに作られる」というトラブルを避けるためにも都合がいいのも事実です。そのときにいちいち数値を言うのは何なので、敢えて用語をはめこんでしまう。どちらかというと用語の方が後追い。ただ、それ自体が必ずしも全員に当てはまるとは限らないので、そういう意味では相手にきちんと中身も伝えるなり、確認なりはしておいた方が良いことがあるかもしれません。
もっとも、オモテケイ・ウラケイともに、用語字体は活字時代に生まれたものなので、数値自体厳密に決めてしまうこと自体ナンセンスなのかもしれません。目安ってあったんでしょうかねえ。
ちなみに「ヘアライン」だけは危険です。
もともとは欧文活字の縦が細い線のことを指すのが昔からの用語ですし、QuarkXpressでいえば「出力機にあわせた最小限の細さの線」の設定だったりもするので、それこそ太さなんて出すたびに変わる恐れがあって、後者の場合は最終出力が一番補足なって普通に事故扱いになります。QuarkXpress全盛の頃は恐怖以外の何者でもなかったです。というか今でも禁止しているところが多いのではと。
もっとも、InDesign CS4のオンラインヘルプ「トンボと裁ち落とし」にもヘアライン記述があるので、そもそも用語自体もうイコールでもなんでもない、と思った方がいいのかもしれません。やっぱりその都度、相手に用語とその中身を解説しつつ……いや、なら中身だけ話せばいいのか。用語自体無意味になりそうな気配です。自分でも予想外のいやなオチだなあ……。
参考1:講談社のいう「乱丁」はローカル用語と決めつける
参考2:用語のイメージに起因する誤解(InDesign居残り補習室)
#ちなみにこの件、せうぞーさんに「0.12という数字にも根拠がない」などのいうご助言はいただいてるんですが、JIS X 4051で定義されてたことを後で確認したので敢えて起こしてみました。確かに仰ることも一理あるというか、事実根拠は知らないので、知っている方がおられるならお教えください。
コメント
アナログでもデジタルデータでも、最終的には印刷されるものなので、特に製版~印刷の影響で結局太さは変わってしまいますからね。
修正などの場合はある意味無理矢理にでも基準を決めざるを得ないと思います。
>>わださん
……もったいない精神ですか。
まあ、太さの区別が明確ならどんな手法もアリ、といえばそれまでですけど。
2010/02/25 09:27 by あさうす URL 編集
2010/02/24 10:35 by わだ URL 編集
そういえば、手動機を操作していた頃、例えば表などの修正が発生したときに0.1とか0.12とか判断不可能なので、すべて0.12に統一していた……というようなこともあります。
現像環境によって0.02ぐらいはユレるのでしょうが……。
2010/02/24 09:43 by works014 URL 編集