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著作権をわかりやすく考える一環

本屋で新書を漁ってたら、目に付いたひとつの本。

著作権の考え方 (岩波新書)著作権の考え方 (岩波新書)
(2003/12/20)
岡本 薫

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電子書籍や、所謂「自炊」などに絡む、さまざまな著作権のあり方について、著作権法がわかりにくいと思ったときに読んでおくといい、と思った一冊。

自分が手にしたものは、初版が2003年12月19日、という、そこの日付だけを見るとあまり新しくも何ともない本です。
ただ、実際に自分が手にしたものはは2009年1月15日・8刷のもの。それには初版にない、それまでに改正された箇所についても手を加えられているので(比較せずとも読んで判るようになっている)、そういう意味では古本ではなく、新品として入手して惜しくない本といえるかも。もちろん奥付には注意する必要があるかもしれないので、現物確認必須ともいえますが。

そのうえで、著作権の考え方、そして日本におけるデジタル環境としてのはじまりと現在、アメリカとの比較(著作権法だけでいえば、アメリカなんか日本の足下にも及ばないけれども、個々の契約がはっきりしている点は逆に日本と対称的)などについても、さまざまなケース・シーンを引き合いにだして明確に記されているので、非常に参考になると同時に、著作権にあり方、デジタルデータにおける扱いについてなど、さまざまな問題について考えさせられます。



また、そういう意味では、米国産電子書籍端末やソリューションについては、現状の日本での多くのシーンについては、著作権や契約的に使い物にならない恐れがあるんじゃないか、という点についても考えさせられてしまい、そしてその解についても、特に権利者(原点としては執筆者などの著作者)に対して示しているだろう、といえるかもしれない内容。

少なくとも、本のスキャンをすることだけを商売にする人であったり、スキャンした本を単純な契約だけで再版できると考えている人などは、この本は読むべき。読んで、最低でもその利用者や契約相手に対して著作権法の根底からクリアしているかどうかを明確に記すべきなんじゃないかなあ、と考えたり、そうでなくとも、現在あるすべての国内流通たる電子書籍自体が著作権的に本当にすべてクリアされているか、ということも思惑させられる。そんな本だったりします。

この本自体、別に出版物だけを対象にしているわけでも、そして何かに偏って書かれているとは考えにくい(中庸な立場である)本なので、さまざまな人にオススメできるだろうと。
確かに日々技術は進化し、それに対して著作権法はどうなんだと思うことがあるはず。そういうことを考える人、そうでない人であっても、この本は「現時点の日本国民全員が送り手にもなりうる」という点に対して、きちんとした道筋を記していると思います。そういう意味では誰もが一読すべき、イチオシの本と考えます。



関連1:勢いという単純な問題ですまないおそれ
関連2:あんた、それ、逆効果。

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