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去年までの各数値をグラフに表す(5)

ということでそろそろ本人が飽きてきたので、今日を最後にしてみたり。

ええい、このままではかなり多くの数値を追いかけないといけないということに気づいたうえで正直きりがないので打ち切り、というべきです。根気負け。

まずは昨日出した後側のグラフより。

100809_iandit_2

内訳だけで見ると、固定電話は下がっている。PC関連支出も下がっている(これはPCそのものの単価が下がったり、ネットだけでいえば安価+ソフト代がかからないからなどが推測される)。それ以外は上がっていて、総支出についても概ね上がり気味。
といっても、毎年上がっているわけではなく、総支出そのものでいえばそれほど変わりがない。……ただこれには問題がふたつある。

ひとつめの問題は、通信インフラ等の支出金額が、普及率に対して下がっていないこと。平均単価としてはむしろ上がっていることに。過渡までの普及をしている現状を鑑みると、これっておかしいように思われる。
もうひとつについては、以下のグラフ。

100810_japanincome

これも巷で言われていることではあるけれど、国民の所得そのものが1997年以降は下降の一途を辿っている。この下がり方は、実は最初に出していたグラフである、出版物販売概況、つまりは出版物の売上下降と類似したグラフになっていること。



収入は落ちているのに、ネットや携帯などの通信費は上がり続け、それに類する合計支出は高止まりのまま。もしそこを削るのが惜しいとなると、どこが削りやすいかっていうと、まあ、さまざまでしょう。
本が売れないのは、その削られた支出のうちのひとつじゃないかと。

もっとも、もうひとつある。これは最近まで気づいてなかったこと。
今回一連のエントリの直前に、田代真人さんの『電子書籍元年』を読了した旨を記載してますが、そこに書かれていた「本や読書の時間をネットに奪われた」という点。
確かに、今こうしてエントリを起こして文章を書いているのも相手はネット。そうでなくとも参照したのもネット。電車の中を一歩引いて見回してみると、そこには携帯電話でWebを見たり、メールしたり、ゲームしたりしている人、人、人だらけ。どうせパケットを大量に使うのであれば、パケット定額サービス加入で毎月合計7,000円は奪われる。それだけ高いのであれば、人はそこを中心として「できる限り安価なコンテンツ」を望むことになる。7,000円っていったら、雑誌や書籍が何冊買える? 全国民の携帯に支払う金額が半分になって、さらにその半分を雑誌購入に充てたら、さていくらくらいになる?



最後にもう一つグラフ。これは面倒だったのでスクリーンショットレベルですが、以下。

100810_PublicLibrary

図書館で、無料で本を借りて読む人たちも年々うなぎ昇り。これも以前から言われてはいるものの、グラフにするとより明確に。人々は通信関連以外の娯楽や教養等に対して、積極的にお金を落とさなくなっている可能性があるのかな、と。

これらを確認したとき、電子書籍が出来たとしても、皆が購入してくれるかどうかはかなり未知数ではないかと。



「もしドラ」100万部へ ダイヤモンド社、初のミリオン』【MSN産経ニュース】という記事が少し前に出て、電子書籍販売分がうち4万部となってはいるけれども、これはかなり例外的な数値。そもそもトータルの部数に対して、たった4%でしかない。これが10%-20%あればもうちょっと考え直してもいいけれども、これだけ話題になってそれでもたった4%。
ついでに、これの販売プラットフォームはたぶんiPhone/iPadだけだと記憶してます。そして、それらの所持ユーザー数はおそらく200万人程度と推測してます(ここにiPhoneの累計端末販売台数が230万台突破の記事がありますが、端末販売数イコール稼働数ではないこと、他の調査による同時期の稼働数が138万台となっているので、おそらく現状トータル稼働数で200万台いくかどうかは微妙なところではないかと)。
それだけ売れたものにも関わらず、その数値から割り出すと、iPhone/iPadユーザーのたった2%程度しか購入していないことに。となると総合ミリオンにならない本の売り上げ数なんてたかが知れているし、立ち読みもできない電子書籍が売れるとしたら「偶然」「口コミ」「タイミング」「懐かしさ」(電子再販物など)が重要で、コンテンツの中身は二の次になるかもしれない。将来的には不明だけれども、現時点ではそうなってしまう恐れがあるのでは、と。



こつこつと土壌作りをしていくことは大事ではあるんですが、さまざまな見極めをして、そして着実な道を歩んでいきたいものです。煽動者の言葉に惑わされず、過去のさまざまな結果を踏まえ、そして基にして、自分自身で予測もしつつ、そして周囲の意見や状況も確認しつつ、将来を見極めたいところです。



ついでに以下の記事をちょうど見つけたんですが。

eBookJapan、iPad向け電子書籍の売上がiPhone向けの2倍に【INTERNET Watch】

1月時点でのiPhone向け市場規模の母数をどう読むか、によるのではないかと。ついでにいつeBook Japanって古いコミックの再販がメインじゃなかったかと。やっぱりコミックなのかと。それもどうなのかと。どこまで書籍に入れていいのだろうかと。



ということでお開き。まとまりがないけど、まあ、そういうことで。

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