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PDF/X-4もアテにはならない

多少過激なタイトルではあるんですが。

PDF/X-4に書き出すときだけ起きる不具合、というものが発覚したので、そういうことを書かざるを得なくなりました、というお話でもあるのでやむを得ない。
しかも条件的にはPDF/X-4が一番しっくりくるようなデータだったりします。



今回の作成例はIllustrator CS6。ただしそれ以下でも起きます。CS4と5では確認ずみ、という……。

もっとも、特定の作成条件が一致する、という前提があるので、必ずしも起きるわけではありません。
ただ比較的簡単に作れます。以下その手順ですが、ひとつずつ解説していくのでちょっと長めです。ご容赦を。



まず、てけとーに文字を用意します。

120528_AICS6Appearance_01



次に文字に塗りを設定しますが、これはわかりやすくするためだけなので正直どっちでもいいです。

120528_AICS6Appearance_02



アピアランスパレットを使い、塗りと線を追加します。

120528_AICS6Appearance_03



そのとき、アピアランスパレット内の階層を「塗り→文字→線」にしておきます【1】。

120528_AICS6Appearance_04



再度、アピアランスパレットを利用します。効果を追加し、スタイライズ→ドロップシャドウを加えます。

120528_AICS6Appearance_05



追加するドロップシャドウの設定では、ぼかしを0mmにします【2】。ボケ足のない影文字を、ドロップシャドウを使って加える、ということです。

120528_AICS6Appearance_06



ここで別のテキストを追加。このとき、かならず複数行(2行以上)のテキストにします。1行目+改行+2行目以降、というつくり【3】。

120528_AICS6Appearance_07



追加したテキストにもアピアランスで塗りや線を設定します【4】。

120528_AICS6Appearance_08



複数行のテキストを、先に作った文字列に適用した、ドロップシャドウ部分に重ねます【5】

120528_AICS6Appearance_09



重なりを調整し、ドロップシャドウ側が上に来るようにします【6】。

120528_AICS6Appearance_10



その状態で、別名保存→PDFを選び、PDF/X-4:2008を選んで保存すると……【7】

120528_AICS6Appearance_11



AcrobatでできあがったPDFを開くと、こんな感じ。

120528_AICS6Appearance_12

元のドロップシャドウとは別に、下の複数テキスト部分にもドロップシャドウの欠片と思わしきシャドウが出てしまう、という。



これ、PDF/X-1aやPDF/X-3、EPS保存等では起きません。起きるのは透明を保持しようとするPDF/X-4のみ。しかもPDFにしないとわかりません。
ただし、先に書いた順序の、【1】~【7】いずれかの条件が外れると発生しない模様です。もうひとつ追加すると「今回の重なりが、作成しているアートボードにおいて最前面にあること」という条件が加わる模様。
なのであくまでもおそらくですが、非常に起こしづらい、はずです。特に【1】外すのは制作中に気をつけておけばなんとかなるはず、ですが、アピアランスの階層なんて手作業による調整のシロモノなので、やってしまう可能性はゼロでもなんでもないという。



こういうのを見ると、「EPSなりPDF/X-1aなりのほうが安全で、APPEなんざ信じられん」ということになりかねない気がします。困ったもんだ……。

ということでこのページそのまま、Adobeに提示する予定です。同様の現象はAdobeのサポートサイトで見つけられなかったし。
あと条件がシビアとはいえ、可能性がゼロではないわけなので、作ったデータはあらゆる角度から検証したりするしかなさげな気がします。気をつけよう、作りっぱなしの、そのデータ。



#補足:サポートサイトに掲載されてる場合はお教えください。あそこはそろそろ、キーワード検索程度じゃ見つけられんことが多すぎる。

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