ということで、いつものように一例を出しときます。

これは何かというと、オブジェクトをシンボルとして登録したもの。
同一レイアウトで複数のオブジェクトを編集する際に便利な機能です。複数アートボートでバリエーションを作るなどの場合にも有効かと。
これについては作成したのは、CC 2015.3.1です。それをai形式で、保存バージョンを最初のスクリーンショットと同じ「Illustrator CC」として保存します。
それをCC 2014で開きます。

もちろん何の警告もなく開けますので、まあ「CCだよー」と言われて渡された場合は、手元の一番使いやすいとか入れている最新のバージョンで開くでしょう。
ただ、それをクリックした場合……。
こんな状態になります。……まあ、これだけじゃ何のことかわからない人が多いように思いますが。
それをさらにダブルクリックを行うと……。

これもわかりづらいんですが、実はグループ編集モードでオブジェクトを編集する状態になってしまった、という。
シンボルオブジェクトについては、通常、ダブルクリックすることで、シンボル編集モードに入ることになり(ダイアログが出る・出ないにかかわらず、編集中はレイヤーパネルを見るとわかるようになっています)、編集した内容は、配置したシンボルオブジェクトすべてに反映されるようになっています。これが便利な所以。
しかし下位バージョンで開いた場合、配置したオブジェクトはシンボルとはリンクが切れてしまって独立したオブジェクトになるため、シンボル編集モードには入らず、ダブルクリックするとグループ編集モードになってしまう、というわけです。
もちろんシンボルとしては登録が残っているので、追加で配置したものについてはシンボルとして編集することができるわけですが、既に配置したものが駄目となると、もう一度全部配置しなおし、ということになってきます。
とりあえず気づいたのはこれだけではあるんですが、まあ、他にも何が起きるかわからないので、いずれにしても保存バージョン以下で開くのは避けたほうが無難だと思います。
なお、このシンボルの挙動、下位で処理して保存したデータを上位で開いた場合はちゃんとシンボルオブジェクトとして編集が可能です。
ともあれ、どんなデータであっても、開く前にはBridgeなどで「どのバージョンで保存されたものなのか」は必ず確認して、基本的にはそのバージョンを基準にして開くということにしないといけません。

で……「なんでこれが勉強会のフォローアップなんだよ」って思う人もいるかもしれませんが、勉強会において「複数のアートボードで共通して配置するオブジェクトはシンボル使うと便利だよ」って話をしているわけです。
そのうえで、フォローアップ、または「印刷の泉」さんで頒布している動画内に含まれているサンプルデータとして、使用した元データのテンプレートがあるんですが、それを作ったバージョンはCC 2015.3(と、途中でアップデートかかったので2015.3.1が最終)だったんですが、CC 2013/2014はそのまま渡せばいーや、と思ってたんですよ。しかし実際に開いていざ動作確認と思って触ってみたらこの現象が出たので、あわててデータの再作成を行う羽目になったという……。
CC 2015用とCC 2013-2014用として別に分かれているのは、実はそのためでした、という話が今回だったりします。とほほ。
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