2016/11/13
文字組みの結果は、見た目じゃなくて中身でチェックが大事
まず、InDesignの下記の組んだ例を見ていただきたく。
同じテキストフレームに、同じ文字組み設定(文字周り、段落周り)にしたうえで、数字と小数点については字形パネルのサブメニューを使い、範囲選択して「等幅半角字形」にしたものですが……上の段落と下の段落で、数字の結果が違う部分に対してカコミを入れました。
さてこれ、なんで違うんでしょうか?
制限時間30秒でお答えください。
ある意味どうでもいいことや、役立つかどうかもわからないような中身を、日々脳内から適当に垂れ流しまくりつつ、今日をなんとか生き存えることを思案してます。
こたえとしては「中に組まれている文字コードが違う」。
……「同じ等幅半角にしたのに、文字コードが違うってどういうことじゃ」と思う人もいるかもしれませんが、違うもんは違います。
これについて確認するには、情報パネルを使うことになります。
最初の段落の数字部分と、次の段落の数字部分を範囲選択して、情報パネルで内容を確認すると……実はそれぞれ、情報が異なっています。
前者については、取り込んだ時点のテキストが、所謂「半角数字」、厳密にはUnicodeの「基本ラテン文字」で入力された状態だったもの。つまりは「0123456789」(u+0030-0039)と「.」(u+002e)の状態。
後者は、取り込んだ時点のテキストが、所謂「全角数字」、Unicodeの「半角形/全角形」で入力された状態のもの。「0123456789」(u+FF10-FF19)と「.」(u+FF0E)を使用したもの。
それらに対して「等幅半角字形」として字形(グリフ)を同じもの変更したものなので……見かけだけでいえば「全部同じ等幅半角数字+ピリオド」だけれども、中身としては「半角数字はプロポーショナル欧文と同じ状態だけど、全角数字は(連数字処理も設定OFFなので)いわゆる記号的と同じ状態」ということに。
文字組みの処理としては、基本としてはUnicodeで処理されるため、それがたとえ、見かけ上は同じでも、内部で持っているUnicodeが異なる場合は組まれる結果は変わります。これについてはInDesignに限らず、他のアプリケーションでも一般的には同様。
となると、実際に裏で持つ情報は何かを把握しないといけないため、見かけの字形ではなく、実際には情報で「見えないものを可視化」が必要になってくるので、情報パネルなどを使ってチェックするしかないわけで。
なおこれ、今回は等幅半角字形でやってますが、実際には「全角数字のテキスト突っ込んで、字形パネルでプロポーショナル字形に変更する」ことでも同じように行末・行頭で強制分割できてしまいます。これについては実際に試していただくとわかりやすいかと。
InDesignの場合、もうひとつ確認方法があって、この状態だけでいえば「ストーリーエディタ」を使うことで、一応ですが目視できます。
ただまあ、ストーリーエディタって標準では出ていないことと、全角だけの問題ではないこともあるので、やはり情報パネルでの確認が大事。
意図しない動きをしていると思ったら、まずは該当部分を情報パネルで覗いてみることが必要だと思います。
あとInDesignの場合は、環境設定にある「CIDベースの文字組みを使用」の影響がある点も注意が必要だったりします。文字組みアキ量設定はこの設定と連動しているので、裏で持つUnicodeとは無関係に、アキ量は実際に組まれる字形ベースで処理されるので、ある意味、より複雑なことに。
逆に「CIDベースの文字組みを使用」の設定をOFFにすると、見かけの結果はもうちょっと変わるので、もう少し疑問を持てる可能性が高まります。逆に余計にややこしくなるかもしれないけれども。
あと、Illustratorでも実は同じなんですが、「CIDベースの文字組みを使用」の設定はないわけで、アキ量についてもUnicodeベースになるので、見かけ的にはやはりInDesignでのそれをOFFにしたときとほぼ同様になります(完全一致はしないはず)。
「こんな組み方するの、普通じゃねえだろ」と思われるような気がする……ものの、意図する文字組みのコントロールをするとか、外部から回ってきたデータがどう組まれたのかっていう点においては、必要な話だと思います。
ともあれ、見かけだけで判断せず、情報チェックは大事だと考えて置きたいところです、はい。
#……実はこれ、DTP勉強会の22回のアンケートで頂いた質問のフォローアップの中に一例として入れようと思ったけれども、ものかのさんに「それ難しいんじゃない?」って話をされたので、図説付きで今回改めて出した次第。つまりは勉強会のフォローアップを2か月たってからやらかしたという……。
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