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Illustratorの「コンテンツに応じた切り抜き」を今更再確認する

2018年11月リリースの、Ver.23から搭載された機能で「コンテンツに応じた切り抜き」ってのがあります。

そしてそもそもこの機能の認識をまるっきりできてなかったので、今更なんですけどちょっと動作検証をしてみた次第。


ちょっと先日、これに絡む質問を受けたんだけどまともに答えられなかったんで、今後恥ずかしい思いをしないためにも動作くらい見るべきだろうということでの、公開処刑回答状態扱いのネタ。

まず今回受けた質問としては、実は環境設定関連だったりする。
「コンテンツに応じた初期値を使用」がそもそも何か、というところの話。

確かにVer.23からその設定が増えてる……けれども、Ver.23と24で表記が若干違うぞこれ。
下のスクショはそれぞれ、Ver.22.1/23.1/24.0.2の環境設定画面で、右列最終項目にそれが追加されてる。


200209_AIContent-AwareCrop_01 200209_AIContent-AwareCrop_02 200209_AIContent-AwareCrop_03


そして以下、比較としてVer.22.1と24.0.2としての動作比較をば。


まずVer.22のほうでこんな画像を用意しました。
んで上の画像を選んで、コントロールに表示される「画像の切り抜き」を選びます。

200209_AIContent-AwareCrop_04


すると画像全体の表示とともに、トリミング用のウィジェットコーナーおよびエッジハンドルが出てくるので、それを操作してから適用(Enterキーまたはボタン押下)することでトリミングがなされる、というのがもともとの仕組み。

200209_AIContent-AwareCrop_05


これでいえば当然下の画像も同じ動作に準じるのでなんら変わることはなく。

200209_AIContent-AwareCrop_06



ではVer.24のほうとして、使う画像は当然同じものだけど、データはそれぞれ新規で作って改めて配置してサイズや位置は同じにしてありますよ。
そして同じように「画像の切り抜き」をクリックするまでは変わらない。

200209_AIContent-AwareCrop_07


しかしVer.24のほうでは、画像全体にトリミング用のウィジェットコーナー及びエッジハンドルが表示されるのではなく、人物に絞られた状態になったわけで。

200209_AIContent-AwareCrop_08


その状態で適用すれば、もちろんその範囲だけが切り抜きされる仕組みとなっている。

200209_AIContent-AwareCrop_09



じゃあ下のX-29も同じようにしてやれってことになるわけですけれども……。

200209_AIContent-AwareCrop_10


結果としては、こう。

200209_AIContent-AwareCrop_11


……なんで機首まわりが中心になるのよ、と。

当然適用すればその範囲になる。

200209_AIContent-AwareCrop_12



このあたり、当然Adobe Senseiが自己判断したうえでの結果になる話なのが前提であることと同時に、PhotoshopにおけるAdobe Senseiの各種動作も考慮すると、傾向的に「人物とか背景との境界が明確なものがうまく認識するんだけど、それ以外のものだとあんまりうまくいかないことがある」というのが自分での経験則的な話。
X-29さんは当然無機物で人物じゃないことと、色的には背景との差はある画像だったんだけどなんかうまくいかない傾向の代物、みたいなところになりそうな感じ。



なお環境設定にある「コンテンツに応じた初期値を適用」をOFFにすると、人物だろうがなんだろうが従来通りの動作に変わります。

200209_AIContent-AwareCrop_13 200209_AIContent-AwareCrop_14


ちなみにこの環境設定だけのヘルプがどうしても見つけられなかったうえで、改めて2018年11月リリースの情報を参照しなおした結果、「画像の切り抜き」のページにリンクが張られててそこで記載されてた、という……。

機能の概要 | Illustrator | 2019 リリース
画像の切り抜き


そしてそこにも書いてあるけれど、「このオプションをオフにすると、画像の切り抜き、フリーグラデーション、パペットワープのデフォルト機能は無効になります。」ということなので、なんとなく環境設定の項目名がそれら全部を司るということはおそらく判断できないんじゃないのって今回思った。


ともあれ、トリミング自体が半自動化されるうえで、一発の結果が駄目だったとしても従来通り手作業で調整すればいいわけなので、基本的にはOFFにするだけのメリットもなさそう、という結論になるところ。



ただし、そもそもなんでこれの認識ができていなかったのか、という点を忘れてたので、根本的なそれを示しておかねばならない。

200209_AIContent-AwareCrop_15


そもそもIllustratorの「画像の切り抜き」自体、画像を埋め込んでおかないと動作すらさせられない代物という大前提がある。
なので埋め込みをワークフローとしての必須条件にしていないとそもそも機能自体を触ることがないわけで……。

埋め込んでしまうと画像の修正をするたびに差し替えを手作業でやる羽目になることから、 最初に搭載されたVer.21.1(2017年4月の新機能)の時点で試した時に「あ、こりゃ絶対使わないわ」と思って放置してた代物だったという。

新機能の概要 | 2017 年 4 月と 2016 年 11 月のリリース



ということでたぶんこの機能、やはり自分ではよっぽどのことがない限りは使わない代物だろうなーという話になります。
データ破壊しての利便性よりも、従来通りのクリッピングマスクや不透明マスク、元画像での処理などによる非破壊・再利用系の処理のほうがよっぽど利便性が高いと思うから、というおはなしに帰結するところになるため。

まあたまにはこういう調査も必要か、うん。

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